歴史教科書比較:アメリカ・イギリス・日本・スウェーデンの第二次世界大戦の描き方

今回読んだ論文

今回読んだ論文は”America in World War II”という論文で、この論文の中では第二次世界大戦についてアメリカ・イギリス・日本・スウェーデンの教科書で描かれ方がどのように違うのかについて論じられている。以下重要な点を抜粋してまとめる。

アメリカ

“Emphasizing the significant role that the US played in crushing the Axis forces in Europe and the Pacific”と”Emphasizing US commanders, battles in which US was a chief protagonist”。この二文でほとんど全てがまとまっている。まず、アメリカがいかに「ドイツ・日本・イタリア」の枢軸国を潰すのに重要な役割を果たしたのかの説明を重要視し、さらにアメリカがいかに戦いの中で「主人公」だったかを説明している。また、日本の真珠湾攻撃に対しては、日本人がいかに「急に」攻めてきたのかを描いている。

イギリス

“Do not portray the US contributions more significant than British empire”であり、”The allied effort was a joint venture involving equal partners, and not one dominated by US”だった。つまり、イギリス王朝ほどにはアメリカの貢献を重要度が高いものとして描いておらず、また同盟で戦ったことについて、アメリカが「俺らがリーダーとして引っ張ったぜ」といっているのに対し、イギリスは「同盟国みんな等しく頑張ったよね」と説明している。

日本

アメリカが日本の真珠湾攻撃を「急な」ものとして描いているのに対して、日本は「どうしてアメリカを攻撃せざるを得なかったのか」「日本とアメリカの間に1941年以前にどのような政治的な衝突があったのか」を論じ、また戦争の中心の舞台をアジアとして描いている。

スウェーデン

スウェーデンはヨーロッパと北アフリカを中心に戦争を描いており、またアメリカの役割も「サポート的な役割」として説明するに留めている。

まとめ、特に日本の教科書について

この論文は社会学の、それもまた”the social construction of knowledge”という分野でどのように「知識」というものが社会的に構築されていくものなのかについてを描いている。だからどれが歴史的に正しいとかではなく、それぞれの国がそれぞれの立場で歴史の見方が違い、それが歴史教科書に大きく反映しているということだけを論じている。

高校生当時の僕は全く疑問を抱かずに暗記していたのだが、「ABCD包囲網」という単語は日本の歴史が産んだ言葉だと知って衝撃を受けた。でも言われてみれば当然で、日本の歴史教科書しかわざわざ「なぜアメリカを攻めるに至ったのか」を説明していない。そうするとAmerica/British/China/DutchのABCDがどのように日本に対して輸出規制をかけたのかを説明する必要があり、構造的に理解しやすいように”ABCD”と名付けたわけだ。

僕は歴史を専門にしているわけではないから、どの教科書が正しいかは言えない。しかし、一つ言えるのは、象を前から見た人間が「鼻の長い生き物」と説明し、後ろから見た人間が「尻尾が長い生き物」だと説明するように、事実が一つでもその説明アプローチは無限にあるんだよ、ということ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする