二つの会社で学んでわかった、行動フローの捉え方は二種類あるという話

行動フロー(行動の流れ)を明らかにすることがイノベーションの鍵

どの会社の人と話しても、イノベーションを起こす(新たな事業を起こす)にあたって動かしたいターゲットがどうしたら動くのかを考えるには対象となる人の行動を点ではなく線で捉える必要がある、ということを話してくださることが多い。

言われてみれば当たり前のことである。私たちが何か行動をするのには必ずきっかけが複数あり、その複数のうちのどれか一つだけ変化してもあまり行動は変化しない。例えばある会社のサマーインターンにエントリーする際の行動を考えてみよう。

Step1. 日常生活を送っている(例えばある人は色々な業種の人と話して自分の興味分野を固めているかもしれないし、またある人はこれまで部活に忙しく、サマーインターンで周りが動き始めて少し気になり始めているかもしれない。)

Step2. なんらかの方法(SNS, 友人や知人から,就活サイトから)である会社のサマーインターンの情報が目に入る。

Step3. その情報がその人にとって興味を引く内容であった場合→詳細情報へ飛ぶ

Step4. 詳細情報で日程、選考フロー、報酬などを確認する→エントリー可能ならエントリー

もっと深堀ればいくらでもフローは分岐できるが今回はこの程度にしておこう。この程度のフローでも一つの施策を考えるだけでは集客できないことがわかる。例えばSNSや就活サイトなどで情報の告知を増やしても興味を引く内容でなければエントリーは増えないかもしれないし、興味を引く内容であっても日程が多くの人気企業と被っていたらエントリー数は増えないかもしれない。

何か一つの点(ここでは「告知する」だけとか、「興味を引く内容にする」だけとか)に思いつきで行動しても結果は良いものにならないのである。この例からもわかるように、人の行動になんらかの影響をもたらしたい場合、点ではなく線で行動を捉え、その線の中でどこが最もその人たちの行動を阻害しているのかを考え、その人たちがアクションに移せるようなフローを構築してあげなければならないのだ。

行動フローは2種類ある

私は行動フローを考えるときには2種類のものがあると想定して行うと良いのではないかと考えている。一つ目が心理的要素(「興味を持つ」、とか、「より知りたいと思う」とか個々人によって明らかに異なるもの)を加える必要がない、ペルソナが一人の機械的な行動、二つ目に心理的要素が絡むペルソナを一人に定めることができない行動である。以下一つずつ見ていく。その前に「ペルソナ」の意味について確認しておこう。

「ペルソナ」という言葉は、元来古典劇において役者が用いた「仮面」のことだが、心理学者のユングが「人間の外的側面」の概念をペルソナと呼んだことから、マーケティングにおいては、「企業が提供する製品・サービスにとって、もっとも重要で象徴的なユーザーモデル」の意味で使われている。氏名、年齢、性別、居住地、職業、勤務先、年収、家族構成といった定量的なデータだけではなく、その人の生い立ちから現在までの様子、身体的特徴、性格的特徴、人生のゴール、ライフスタイル、価値観、趣味嗜好、消費行動や情報収集行動などの定性的データを含めて、あたかも実在するかのような人物像を設定するが、更にイメージを明確にするために顔写真などが用いられる場合もある。 (SMM Labより)

一つ目の心理的要素(「興味を持つ」、とか、「より知りたいと思う」とか個々人によって明らかに異なるもの)を加える必要がない機械的な行動は工場労働などをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。つまり、基本的にどの人が作業しても同じフロー(流れ)で作業ができるものを指す。工場で働く際には必ずマニュアルがあり、そのマニュアルにしたがって行動をする。

つまり、業務効率を改善することを考える際には、この①マニュアルをとにかく細かく砕いたフローを考え、②条件を分岐すれば良いのである。①で意識するのは、「いつ誰がどこでどのようになぜ」その行動をするのかを一つ一つ明らかにすることである。例えば、「工程の最初に○○担当者が原材料を入れる目的で、B機械を使って、小麦粉をA機械に投入する」などである。この際、「いつ」というのはそのマニュアルの中のどの時点におけるものかを明らかにするものであり、「誰が」は上長なのか作業員なのかのレベル感であり、「どのように」はマニュアルに記載されている方法である。

②の条件の分岐とは、「○○担当者が小麦粉をA機械に問題なく投入できた場合」と「○○担当者が小麦粉をA機械になんらかの理由で投入できなかった場合」を考える。できなかった時には、「機械が故障」「人為的なミス」などの原因が考えられ、その原因ごとにまた新たなフローを分岐させていく。

これらを意識してフローを描けば高い確率でそのフローのどこで詰まりが生じているかがわかるのではないだろうか。

心理的要素の絡まるフロー

心理的要素が絡むフローとはエンドユーザー(企業ではなく、私たちのような一般の消費者)が使用するサービスの全てに存在するフローであると考えれば良い。先ほどの例にあった就活サイトしかり、ヘアサロンや飲食店の予約しかり、amazonで本を購入するときしかり、私たちエンドユーザーがサービスを使うときには常に心理的要素(「興味を持つ」、とか、「より知りたいと思う」とか個々人によって明らかに異なるもの)が絡んだフローになっている。

このときもサマーインターンの例のように行動をフローで捉える必要があるのだが、ここで注意しなければならないのが業務の効率化の時と違い、ペルソナを一人に定めることが難しいということである。

ある人はすでに情報をたくさん持っているかもしれない、ある人は初めて就活サイトとやらを覗いたのかもしれない。ある人は面白いインターンを探していて、またある人は内定に直結するようなインターンを求めているかもしれない。

フローを考える際の鉄則は「いつどこで誰がどのようになぜ」それをするのかを考えることであるが、まず、この「誰が」があまりにも種類が多すぎる。次にその多種類いる人の中でもそれぞれ興味の持ち方は異なっていたりする。

例えば、「対象者(ここでは大学生)がこの会社のサービスに元から興味を持っていると仮定した場合」と「対象者がサービスには全く興味がないと仮定した場合」に応じて、フローを二つに分ける。

興味がある場合も興味を持ったきっかけに応じて踏むべきフローは違うだろうし、興味がない場合には人がどのようにして物事に興味を持つのかのフローから新たに考えなければならない。

「興味がない」の人の中には、好奇心が強く興味を持ちやすい人と鈍感であまり興味を持ちにくい人がおり、好奇心が強い人の中では、何の情報がどのように入ってきた時好奇心をくすぐられるかがそれぞれ違うだろう。

そのため、心理的要素が絡まるフローの場合はペルソナの仮説を明確に立てるという作業が必須になってくる。「誰が」をサービスを提供したい対象者の中でマジョリティに当たる人物として、その人物が持っている特徴を仮説立てた上で、「その人が」いつどこで何をするのかを考えてフローにしていく必要がある。

その仮説に基づいてアンケート項目などを作り、そもそもそのペルソナは一般的な人を表しているのか、分岐したフローはあっているのか、などを確かめていく。

まとめ

新たな物事を考える際に、フローを考えることは必須である。しかし、その人はオペレーションマニュアルに則って動いてくれる対象者なのか、一人一人明らかに違う行動フローを持った人を対象とするのかによって、作るべきペルソナは変わってきそうである。これらを考慮してフローを構築することで企業向けの商品を作るにしろ、消費者に向けた商品を作るにしろ良いものができるのかもしれない。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする